2007年4月23日~5月10日にかけて、ボローニャ+北欧の旅に行って来ました。
長年、一度は行きたいと思っていた『Bologna Children's Book Fair』に、
ついに足を運ぶことができました。
そして、これまた念願の北欧の旅を実現できました。
初の海外一人旅にキンチョーしつつ、充実の18日間でした。
毎日つけていた旅日記の一部を抜粋して、旅報告したいと思います。
<Bologna編>
■4/23(月)成田→Frankfult→Bologna
3:45起床。5:00に家を出て5:30の高速バスで成田空港へ。
荷物はすでにパンパンで、思ったよりも押して歩くのは大変…。
汗だくになりながら、ギリギリセーフでバスに乗り込む。
こんなに必死に歩いたのも久しぶり。
なぜ、いつもギリギリになるのだろうか?
ボローニャまでの直行便はないので、今回はルフトハンザで、フランクフルト経由でボローニャへ向かう。
ルフトハンザは、以前にも使ったことがあるので、なんとなく安心。
しかし、ジャンボのエコノミーは狭い!
11時間15分の飛行は、やっぱりしんどいと言えばしんどい。
なぜか、機内では、かわいいお年寄りの姿が目に付いた。
体操する夫婦とか、友だち同士のおばあちゃんたちとか。
フランクフルト空港で乗り換え、ボローニャへ。 日本人の出版関係者らしき人の姿もちらほら。
ボローニャ空港からバスで中央駅へ。
そこからホテルは近いはずなのに、さっそく思いっきり迷う。道をきくこと数回。
駅の反対側だということが判明!
荷物もあるし、タクシーで行った方がいいよということで、タクシーへ。
若いお兄ちゃんの運転手は、ホテルへ到着した時、
メーターを4.5ユーロから5.2ユーロへ上げたのを私は見逃さなかったけれど、
何と言えばよいかわからず、チップ込みのつもりで5ユーロ渡すと、
問題ないといって結局受け取った。イタリアっぽいなあ…。
道をきいたオジサンやオジイサンは、みんな親切だった。
何はともあれ、無事にボローニャへ到着できて、ホッ。
昔は、道をきくのも躊躇していたのに、今回は一人でそんなことを言ってられないせいか、
全然躊躇しなくなってしまい、自分でもびっくりした。
英語は相変わらずヒドイけど。
■4/24(火)Bologna
朝ごはんをもりもり食べ、まずはボローニャ中心地へ。
市庁舎、サン・ペテロニオ聖堂、旧ボローニャ大学、図書館などを見る。
それぞれ、おおっ!と思うのだけど、10年前の初イタリアの時ほどの感動はない。
やはり、何でも初めての時のインパクトは、なかなか越えられないのかもなあ。
最古の大学、旧ボローニャ大学は、有名な解剖室などがよかった。
ちょうどここで、ラガッツィ・アワードの歴史展をやっていて、そっちに釘付けになってしまった。
市庁舎や図書館でも、ブックフェアと連動したイベントや展示が行なわれている。
事前にうまく連絡がとれなかったのだけど、一応、JokerのKarimに運よく会えたらと思い、
2時をめざして会場へ。
会場はデカかった…。看板が見え、入り口へ向かうにつれ、足早になっていって、
うれしくて顔が笑っているのが自分でわかる。
↑FIERAの入り口。コーフン!
会場は、ホールがおおまかに4つに分かれていて、米・英メインのところは、ディズニーとか
いわゆるキャラクターものとか、ブースはとにかく大きく派手で、私は用はないな~という感じ。
(向こうもお呼びでないだろうけど…)。
ヨーロッパ系の方が、比較的こぢんまりしていて、やっぱり見ていて楽しい。
ざっとひととおり見た印象は、自分が好きだー!と思う出版社は、意外にも3つぐらい。
そこまで好きだーと思わなくても、自分の作風と合わないだろうなあと思っても、
“数打ちゃ当たる”方式でトライした方がいいのだろうか?
しかし、話し中(商談中)の人たちの邪魔をせずにタイミングよく話し掛けるのは至難の技。
まず、会話がわからないので、商談中なのか雑談中なのかがわからない。
そもそも、このブースの出版社の人なのか、商談に訪れた人なのか、誰が編集者なのかもわからない。
そんな状況の中、言葉のできない人間が割り込んでいくのは、なかなか勇気がいる。
とりあえず、意を決して、気になったところにどうにかきいてみるけれど、
忙しくてスケジュールが埋まっているから、メールで連絡をくれと言われる。
そうだよな~仕方ないよね~。
結局、Karimとは会えずじまいだった。
私は携帯も持っていかなかったので、こう広くてはわかりません。。
夕方、こっちで会えたらごはんでも食べようと言っていた友人Sちゃんに伝言を入れるべく、
JBBYの窓口へ。
Sちゃんとはここでは入れ違いだったけれど、日本人の食事会へ急きょ、私も合流することに!わーい。
入選者や、ツアーで来ている人など、総勢40人。
ここでSちゃんにも無事に会えた。
Sちゃんはスゴイ。ボローニャは3度目らしく、すごく慣れていて動きに無駄がない。
いろいろと情報を教えてもらう。
人数が多く、誰が誰だか全然把握できなかったけれど、いろんな人と知り合えて面白かった。
偶然にも駒形さんも来られていて(今年の審査員だから)、3年振りぐらい会えて嬉しかった。
板橋区立美術館の松岡さんにも、一度会えたらいいなと思っていたので、
ここであいさつできてよかった。
料理ももちろんおいしかった!ボローニャはハズレがないという…。
楽しく夜もふけ、ボローニャ在住のAさんに、ホテルまでのバスを教えてもらったのだけど、
私がぼーっとしていたのか、彼女にうまく伝わっていなかったのか、
乗ったバスは全然知らない方向へ。
しかも、たぶんあまり治安のよくない方へ。。
夜だし、客層もあんまりよくない雰囲気だな~と一抹の不安を覚えつつ…
完全に間違えたと気づいた時はどうしようかと思った!
もう12時近いし、バスもなくなるかも…
こんなところで降りてもタクシーなんて絶対つかまらない…
心臓をばくばくさせながら、とりあえず終点まで乗って、
運転手のお兄さんに下手な英語で必死に訴える。
どうにか理解してもらい、お兄さんは、今から引き返すから、
途中で乗り換えたら駅まで行けると教えてくれた。
夜遅いし、不安でいっぱいだったけれど、
お兄さんは、引き返す途中で、ここで降りて後ろから来ている21番バスに乗れ、と
親切に教えてくれた。
ほとんどイタリア語だったのだけど、こういう時はどうにか理解できるから不思議だ。
うう…ホントに感謝感謝。
見た目は不精ヒゲでちょっとコワそうだと思ったけど、話すと優しいオニイチャンだった。
目が優しかったので安心した。
なんとか無事にホテルまで帰り着く。ホッ。
初日からこんな目に遇うとは…反省…。
■4/25(水)Bologna
出版社は午前中の方が相手にしてくれる可能性が高いというので、朝から会場へ向かう。
コライーニは、どうしても見てほしかったので、しつこくトライする。
どうにか息子さんに見てもらえた。
『the silent book』と『Harmony』に興味を示してくれた。
でも個人的には『I go~』が好きだって。アリガトウ。
半ば押し付ける形で、2冊を渡す。おかあさんの方にも見てもらいたいし。
あ~もう今日はこれで満足かも?
少し気になっていたところへも一応トライするも、やっぱり出直して、とか
メールで連絡ちょうだい、とかばかりで、なかなか難しい。
17時に、日本にいる間に唯一アポを取っていたeditions MeMoのブースへ。
3~4年ぶりにクリスティーンさんと再会!これが今回の旅のメインでもある。
MeMoは、私が知り合った3~4年前と比べて、どんどんグレードアップしていて、
質の高いアート・デザイン性のある本をたくさん出していて素晴らしい。
正直、会場の中で、好きだー!見てほしいー!と心から叫ぶのは、
MeMoとle trois oursesとコライーニぐらい。
新作を見てもらおうとすると、なんとそこにスカイフィッシュのKさん登場!なんというタイミング!
スカイフィッシュのイギリス支部のMさんに急きょ通訳してもらうことに。
私ってなんてラッキーなのだろう。
クリスティーンさんは、『the silent book』が特に好きだと言ってくれた。
そして私の絵本は、映画のワンカットのようだと指摘された。
確かにそれは意識していて、無声映画のようなイメージでつくっている。
『the silent book』はすごく好きだけど、よりアート性が強く大人向けなので、
以前に出版した『THE NIGHT BOOK』よりは売りにくいかも、と言っていた。
とりあえず、持ち帰り、よく検討するとのこと。
『THE NIGHT BOOK』のフランス版『le livre de nuit』は完売したそう!
う、うれしい~~!オリジナルの日本版は山のように在庫があるというのに(笑)。
MeMoと一緒のブースのle trois oursesは、駒形さんの本も扱っている。
昨日の食事会で、駒形さんに紹介してもらったle trois oursesのエリザベスさんは、
いろんなアートブックをコレクションしていてワークショップなどで使うそうで、
『the silent book』を買いたいと言ってくれたので、明日の用事が済んだらプレゼントすることに。なんだかうれしいなァ。
スカイフィッシュの近況を聞くと、もうすっかり国際派(?)ですごいな~。
素敵な通訳さんもいるし、いいな~。
大量の本と重い荷物を持ち、会場を歩き回っているので、
二日目にして、すでに足と腰がパンパンでかなり厳しい状況になってしまった。
ホテルへ戻ってゆっくり休む。
↑editions MeMoとle trois ourses のブース。
■4/26(木)Bologna
今日も朝から会場へ。
もう、特にいいと思わないところへは行かないことにした。
うろうろしていると、スイスの出版社は気になっていたのでアタックしてみる。
担当者は不在でアドレスだけもらう。
さらに、ポーランドの出版社がすごく好み!なのを発見。
ここの本やMeMoの本は、日本で輸入したら売れそうだな~。
ポーランドは団体で出展していて、ここの出版社の人に見てもらうのは無理だと言われた。残念。
その後、以前にサロンで見かけたesperluete editionsのアンさんのところへ。
午後から見てもらえることになる。『the silent book』や『Harmony』が好きと言ってくれた。
私が、esperluete editionの出しているアンネ・エルボーの本を買いたいと言ったら、
『the silent book』と交換しましょうということに。
持ち合わせの分は、エリザベスさんにあげることになっていたので、
日本に帰ってから送ることにした。
アンネ・エルボーの本と一緒に、esperluete editionの10周年記念に作ったという、
アンネ・エルボーの切手風シールももらってしまった。うう、うれしい!
なんと今日、アンネ・エルボーのオープニングパーティがボローニャであるというではないか!
よかったら来る?と誘ってくれたけど、足腰の状態がけっこう限界だったので、
泣く泣く遠慮することにした。どうせ英語も仏語も話せないしね…。
約束どおりエリザベスさんに本を渡し、本の購入もできるコライーニのブースで散財し、
JBBYにメッセージを残し、会場を後に。
もう私は満足。
ホテルに戻り、休憩すると余力が出てきたので、結局ボローニャ観光その2へ。
シンボルの塔を写真に収め(登る元気はゼロなので…悲しい…)、 サン・ステファノ教会へ。
この教会がよかった!やはり私は古いものに惹かれる。
写真を撮りたくてしょうがなかったのだけど、NGだったので外観のみで我慢する。
その後、Nさんに教えてもらったお惣菜屋さんで、ごはんを買ってホテルへ戻る。
おいしかった~。でも量が多くて食べきれなかった。もったいない…すみません…
さて、明日はもう移動日。いよいよ憧れの地、北欧の、まずはコペンハーゲンへ。
↑サン・ステファノ教会
<ボローニャのブックフェアで感じたこといろいろ>
常々、私のつくりたいものは少数派だと自覚していたけれど、
フランスのサロンに参加した時には、フランスには懐の深い人たちがたくさんいる、と
勇気づけられた。
ボローニャは、サロンよりも規模が大きく、世界中の児童書の出版社が集まるところなので、
いったいどんな出版社があるのだろうとわくわくしていた。
確かに、いろんな出版社があって、本を見てまわるだけで楽しかった。
ただ、これだけ世界中の出版社が集まっているにも関わらず、個人的にすごくときめいた出版社は、結局片手で数えられるぐらいだったことが、ちょっと意外だった。
聞くところによると、今年は、ちょっと規模が縮小していて使用するホールも少なかったそうなので、そのせいもあるかもしれない。
売り込みに関しては、いろいろなやり方があると思う。
今回、結局私は、自分の作風に合いそうなところのみにしぼり、きちんと見てもらえたのは3社だった。
それは、私の作風が少数派だから。
それから、私は一応出版社でもあるので、出版社側から考えた時、
自分の出している本と全く傾向の違うものを売り込みされても、
この人は理解していないなあと思うし困るから。
せっかくはるばるボローニャまでやって来たのだから、
見てもらえるところは全部見てもらうぐらいでできたら、本当はいいなと思う。
でもやっぱりそれは、その人の作風によると思う。
私は、“絵本という形態における視覚的表現”にこだわって絵本を作っているのだけど、
そういうことをよしとする出版社は、世界中でもそんなに多くないということがわかった。
個人的には好きだけど、出版するにはね…というのは、日本と変わらないのかも。
ただ、やはりフランス、イタリアはそういう面での懐は深いのかなあ。
そう考えると、MeMoとの出会いは本当に運がよかったと思うし、
今回、コライーニやesperluete editionsにも見てもらえたのは貴重だった。
自作の絵本は、1年に1冊出せるか出せないかだし、
そう頻繁に海外へ売り込みに行くことはできないけれど、
今回の機会を活かすためにも、今後もメールや郵送で連絡を取っていきたい。
単純に、国内外という枠にとらわれずに活動できたらいいなあと思う。
(そのためには語学力必須だけど…)
少数派は、世界でもやはり少数派だった(笑)。
でも私はやっぱり、この道を進んでいきたい。
↑会場の入り口にある、イラストレーターが自分の作品や連絡先、 メッセージなどを自由に貼ることのできるスペース。 もちろん私も貼りました。上からどんどん重ねられ、すごいことに(笑)。 ここから絵本の出版につながる人もいるそう。 この奥のスペースでは、入選者の原画展も行なわれている。
Comments