<北欧編その3>
■5/5(土)Helsinki
まず、サーリネンのデザインの中央駅をよく見に行く。
古めかしくて、木の扉やシャンデリアが素敵。コペンハーゲンやストックホルムよりも、
この中央駅が、なんだかとても好き。
↑ヘルシンキの中央駅。
徒歩で移動して、ヘルシンキ大聖堂、元老院広場を見る。
やはりフィンランドはロシアの香りがする。
ヘルシンキのツーリスト・インフォメーションへ行き、アアルト・ハウスの場所をきく。
フィンランドのツーリスト・インフォメーションに行こうと思ったら、閉まっていて、
明日予定しているフィスカルスの行き方も、結局ここできく。
そのまま徒歩でてくてく歩いて、デザイン博物館へ。
韓国出身の女性アーティストの展示をやっていて面白かった。
ヘルシンキ工科大学を出ている人らしい。
それから、“ヘルシンキホテル”という、たぶん架空のホテルをテーマにしたグループ展もやっていて、こちらも楽しかった。デザイナーが数人参加していて、それぞれグッズを作っている。
何気に、みんな年下だったのが、ちょっとショック…。
常設は、フィンランドのプロダクトデザインの歴史が分かって興味深かった。
次に、トラムに乗って、アラビアのファクトリーへ。
まずは、美術館でアラビアの歴史を見る。
グスタフスベリといい、アラビアといい、何だか陶磁器づいている。
Yさんの作品を見ても思ったのだけど、陶磁器の作品って楽しい。
器だけでなく、いろんな可能性を、今さらながら発見。
アラビア美術館で見た陶器の作品は、凹凸のあるモザイクみたいで、
所々に色がついていて、すごくかわいかった!
本当は、工場見学をしたかったのだけど、土曜日は休みらしく、予約もしてないので断念。
ファクトリーショップへ。
ショップは安いので、いっぱい買いたかったんだけど、
また送るのも、持って帰るのも大変なので、少量のみで我慢する。
物色していたら、時間が押してきて、目当てのアアルト・ハウスの見学に間に合うかどうか
微妙な時間になってしまった。 でもとりあえず、行くだけ行ってみることに。
12~18時オープンだけど、一時間ごとのガイドツアーで、最後の組は、17時スタート。
ちょうど運よく17時ぎりぎりにたどり着く。
出てきた人も日本人で、一緒の組になった人も日本人だった。
なぜかヘルシンキでは、やたらと日本人を見かける。
ブームなのか? かもめ食堂のせい??
アアルト・ハウスでは、たった二人だけのためにガイドしてくれた。
なんてぜいたくなの!
自邸は本当に素敵だった。
自由に写真を撮る時間が20分あったのだけど、もう全然足りなかった。
コーフンしすぎて気ばかりあせって、撮り損ねたものがイロイロと…。
こんなふうに公開してくれるのはいいなあ。
アトリエの方にも、時間があったら行きたい!
↑アアルト・ハウスにて。アアルト愛用の定規など。
中央へ戻り、スーパーでお買い物。スーパーは楽しい。
ヘルシンキは、街を歩いてもトラムに乗っても思ったけれど、
古めかしくて、何となく物悲しくて、ロシアの匂いをすごく感じる。
建物の色味も、デンマーク、スウェーデンよりも淡い。
そのくせ、広告やサインなどのデザインは、いきなり濃い色を使う傾向があるみたい。
首都にしては小さな街なので、なんだかのんびりしていてのどか。
何か日本を思い出す感じがある。ドアの開け閉めの時、後ろの人を見ないとか。
そしてそのくせ(?)、デザイン・フォーラムみたいなお店もある。
この規模、バランスが、なんだかちょうどいい気がする。
ちなみに、ヘルシンキは寒い…セーター、マフラーが活躍。
■5/6(日)Fiskars
今日はいよいよフィスカルスへ。
ヘルシンキから車やバスなどで一時間半ぐらいらしい。
ツーリスト・インフォメーションで教えてもらった情報を頼りに、バスセンターへ。
それらしきバスを発見し、運転手さんに訊くと、
フィスカルスには行かない、Tammisarriで乗り換えろ、と言う。
とりあえず乗ってみる。
同じバスに乗車の日本人らしき女性も、どうもフィスカルスに行くっぽい。
今日は日曜日だし、不安を覚えつつ、Tammisarriに到着。
もう一度、運転手さんに訊くと、今日は日曜日だから乗り換えのバスはなくて、
タクシーで行くしかないという。やっぱりね~…。
しかし、タクシーで行くにも、呼んでもらわないと来ないのだった。
日本人女性と相乗りすることにし、とりあえず中心のガソリンスタンドへ。
ここでタクシーを呼んでもらえた。
ここからフィスカルスまで、約35ユーロを折半する。助かります。
女性は、ノルウェー、ロシアを回ってきたという。フィスカルスに一泊するそう。
ヘルシンキからのバスでもタクシーでも、窓の外を眺めていると、
郊外になると本当に人もいないし車もあんまり通らない。
なんて人口密度が低くて、広々しているのだろう。家や小屋がポツン、ポツンとある。
途中通った、湖のほとりの小さな街も、こぢんまりとかわいらしかった。
この国はやはり湖がやたらと多い。白樺も多い。
時々見かけた人は、クロスカントリーの夏場の練習なのだろうか?
スキーのスティックを持って歩いている人を何人も見かけた。
↑フィスカルスにて。
フィスカルスは、やっぱり人が少なくて気持ちのよい街(村)だった。
ふつうはみんな、車で来るところなのだと思う。
でも、意外といろんな人が買い物というか観光に来ていた。
夏場のシーズン中だと、けっこう人は多いかも。
ショップや古い建物などを見つつ、ふらふら散歩。
フィスカルスは、アーティストの村なので、いろんな工房があって、
夏場やアポイントメントを取ると見学できたりするらしい。
こんな小さな村に、いろんなアーティストが移り住んできて、それぞれ作品を作って、
ここからフィンランド国内はもちろん、世界へ向けて発信している。
この環境のよさ、うらやましい。
作品は、クオリティの高いものばかりだけど、何となく素朴なのは、
この自然の豊かな環境のせいなのかな?
研ぎすまされたものではなく、あたたかくて丸っこいイメージ。有機的というか…。
↑フィスカルスのギャラリー
帰りはバスはないから、タクシーでKarjaaまで出て、
そこから列車でヘルシンキに行くのがよいと判断。
でも、列車の本数があるか不安だったので、早めに出ることに。
タクシーを呼んでもらったら、もう一人女の子が別に、先にタクシーを呼んでいたらしく、
その子の呼んだタクシーがやってきた。
行き先は同じだったので、運転手さんが連絡を取ってくれ、私の呼んだタクシーはキャンセルに。
ありがたい。相乗りできてよかった。Karjaaまで、約23ユーロ。
女の子はアメリカ人の学生さんでバックパッカーで、5ヶ月も旅しているそうな。スゴイ!
私はもう立派に大人だし、何かいろいろ話しかけたいと思うのだけど、英語は出てこない。
なぜフィスカルスに来たのかきいたら、ハサミで有名だからって。なるほど。
ああ…しかしろくに会話できなかった。
駅で別れた時も、なんだかうやむやに別れてしまって、
せめて、よい旅を!ぐらい言いたかったのに…ナサケナイ…。
私も学生のころ、一ヶ月友人と二人で貧乏旅行した際、出会った人々の何気ないやさしさが
すごくうれしかった覚えがあるので、大人になった今、そういうふうにできるとよかったのにな…。
ちょっと自己嫌悪。
■5/7(月)Helsinki
今日はヘルシンキ散策その2。
まずは、アンティークマーケット Hietalahden Kauppahalli へ。
アンティークの食器や小物、家具などがいろいろ。
うーむ。家具は持って帰りたいものがいっぱい…でもムリだよなァ。
中古家具なら、北欧がいい。
小物を物色するも、今ひとつピンとこず…。
続いて、そのまま歩いて、映画「かもめ食堂」に使われたカフェ、SUOMIを探しに。
おっ、ありました!映画のポスターも貼ってあるし、「かもめ食堂」の文字も残されている。
中に入ると、やはり日本人のカップルが(笑)。
実際のSUOMIは、かなり素朴な食堂。
ひっきりなしにお客さんが入って来て、地元の人から愛されているお店という印象。
ここではやはり、シナモンロールとコーヒーを注文。
残念ながら(?)おにぎりのメニューはなかった。
一息ついて、再び歩いてヨハンナ・グリクセンのショップへ行くも、今日はお休み…残念。
とりあえず、窓に貼り付いて中を覗く。
次に目当てのイヴァナ・ヘルシンキへ。
やっぱりここのお店はかわいい。というか独特。このセンスは日本人と通じるものがあると思う。
大量生産ではなくて、家族経営でコントロールしているというのがいい。
お店の空間まるごとがイヴァナ・ヘルシンキの世界で、わかりやすい。
日本では、セレクトショップの片隅ぐらいでしか、見れないからな~。
やはりテキスタイルが気になって、手提げを購入。
ラッピングがまたかわいくて、うれしかった。
続いて、マリメッコやイッタラ、アーリッカ、アカデミア書店などを見て回る。楽しい。
マーケットのKauppatoriをのぞき、ウスペンスキー寺院へ。
北欧最大のロシア正教の教会だそう。やっぱりロシア。
さらに、もうひとつのマーケットHakaniemen Kauppahalliへ。
ここは、一階が生鮮食品で、二階は手芸品や衣類などを扱っている。
マリメッコも入っていて、大型店とは違う品揃えに、かなり真剣に物色するも、
散々悩んでやめる。
今日は、ヘルシンキ三大マーケットを制覇。
アンティークは別として、どれも、いわゆる市場で、
建物はレンガ造りだったりして古めかしくて立派なのだけど、
中は小さなお店が並んでいて、ふつうに市民が食料などを買っている。
スーパーもいいけど、こういう市場はやっぱり楽しい。
私はイチゴを買った。すっぱくっておいしかった。
↑ヘルシンキはすぐそこに海が。
ところで、ツーリスト・インフォメーションで、明日ペタヤヴェシに行けたらと思って相談したら、私の行きたい教会は、二日前までにアポイントメントが必要で、
しかも受け付けているのが月火水のみらしい。
インフォメーションで代わりに予約はしてもらえない感じで、
がんばって自力で電話したとしても、どっちにしても全然間に合わなかった。
うーむ…残念無念。実は、この旅で一番行ってみたいところだったけど、
ヘルシンキから片道4時間半はきつい。
だいたい車で行くところなんだろうな。ホントに教会しか見るところはなさそうだし。
教会がオープンしている、夏のシーズン中に、いつか絶対行くぞ!
というわけで、明日の最終日はどうしよう。
■5/8(火)Tampere
いよいよ最終日。
やはりせっかくなので、遠出してタンペレのムーミン谷へ行くことに。
タンペレまでは、インターシティで2時間弱。
窓からの景色は、やっぱり白樺の森と畑と湖と、たまに家。
フィンランドは、一軒家よりも集合住宅の方が多いような気がする。
もちろん一軒家もあるけれど、ほんとにすっきり装飾がなくて、地味といえば地味。
集合住宅しかり。箱な感じ。
タンペレは、ヘルシンキに次ぐ第二の都市らしい。まあいわゆる地方都市。
あまり時間がないので、一直線にムーミン谷へ。
ムーミン谷は私立図書館の中にある。
この図書館がまた、コンペで決まったというライリ&レイマ・ピエッティラという建築家の作で、かなりユニーク。
ムーミン谷は、トーベ・ヤンソンの原画と、ミニチュアがたくさんあった。
私はやっぱり原画やスケッチに見入ってしまった。ちなみに昔のムーミンはちょっとスマート。
子どもたちの集団なども見に来ていた。
ムーミングッズを物色。
日本はムーミンファンが多いので、大概のものは日本でも手に入るんだろうな~。
図書館のカフェで遅いお昼を食べたら、本当に時間がなくなり、また一直線に駅へ向かう。
タンペレ観光はできなかったけど、ムーミン谷が目的なのでよしとする。
帰りのインターシティは爆睡。
↑黒光りするムーミン。
ヘルシンキに戻り、最後の買い物に走る。
昨日休みだった、ヨハンナ・グリクセンへ。
やっぱり織物っていいなあ。
父母へのプレゼントとしてクッションカバーを入手。
お店の奥は工房にもなっていて、織り機が置いてある。
店員さんはとても親切で、あそこにいるのがヨハンナよ、と教えてくれた。
なんとご本人がいるとは…!
お店の片隅にさりげなく、バタフライスツールが置いてあったのだけど、
クッションがお手製(つまりヨハンナ・グリクセンオリジナル?)で、すごく素敵だった。
マリメッコに寄って、最後にアルテックをひやかして終了。
いよいよ旅も終わり。
明日は飛行機に乗ったら、だんだん現実に戻っていくんだろうな。
あーでも楽しかった!
一人でも海外へ行けることがわかったので、これからはお金と時間さえあれば、
気軽に行けそうな気がする。
まるまる一人で18日間過ごすことができて、ひとつ自信になった。
と言っても、英語が通じる治安のよいところばかりだったので、
初心者にはちょうどよかったのだと思う。
一人の気ままさと不便さを感じつつ、ひとつ思ったのは、
誰かと旅するなら、日中は別行動で夜ごはんは一緒に、というのがベストかも?
英語は相変わらずひどくてどうしようもないので、勉強の必要性を痛切に感じているのだけど、
毎回そう言って何もせずにおわってしまう。
今後、仕事の上でも活かせるように真剣に考えねば…。
でもたぶん私の場合、強制的に英語漬けの世界に入らないと、上達しない気がする。
日本にいようが海外にいようが、ちゃんとした大人でいたい、
というのが、今回の旅ですごく感じたこと。
道のりは遠いなあ。
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